知能と情報
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原著論文
味覚センサ開発のための基底最適化 RBFN と味覚からの最適な成分濃度推定法
池田 睦堀田 創石原 才子CITTERIO Daniel鈴木 孝治萩原 将文
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2009 年 21 巻 3 号 p. 392-401

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抄録

本論文では味覚センサの為の基底最適化 RBFN(Radial Basis Function Network: RBFN)と味覚からの最適な成分濃度推定法を提案する.味覚センサは溶液からその味を推定するセンサであり,イオン選択電極などの化学センサを用いて成分濃度を推定し,成分濃度と味覚のマッピングを行うことで実現される.本論文で目的としている味覚センサは飲料製品の品質管理・新規開発に対して実用的な製品を目指しており,以下の二つの機能を有する.一つは化学センサからの応答データを用いて味覚を推定する機能である.もう一つは理想的な味覚を入力することにより最適な成分濃度を推定する機能である.前者には RBFN に基づいた新しいアルゴリズムを用いている.各化学センサからの応答の性質に対して基底半径を自動的に調整することで従来の味覚センサと比較し精度が5.6%向上している.後者は従来にはない機能であるが,新規製品の開発過程において重要な役割を持つ.本論文ではこの機能を実現するために改良型ネットワークインバージョンを提案している.具体的には精度向上のため,ネットワークインバージョンの初期入力決定を探索域の中で最適解に近い点から開始するというものである.評価実験において通常のネットワークインバージョンと比較したところ,解析の精度が平均10.7%向上している.

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© 2009 日本知能情報ファジィ学会
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