知能と情報
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原著論文
セミハードクラスタリングとその識別器への応用
市橋 秀友野津 亮本多 克宏
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2010 年 22 巻 3 号 p. 358-367

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抄録

ファジィc平均法は適当な目的関数を設定してそれを最小化することでデータ集合を複数のクラスターに分割する方法である.したがって,最適化するための簡単なアルゴリズムが導出できるような目的関数を工夫することが重要である.その一つとして,正則化(ファジィ化)のために目的関数にエントロピー項を追加する方法が宮本により提案されている.我々はエントロピー項に対してK-L情報量の項と共分散行列の行列式の項を目的関数に追加することで,ガウス混合モデルと類似のアルゴリズムを提案している.K-L情報量の項から逆にエントロピー項を削除してメンバシップ値について線形化すれば,最適解は端点に得られる.このことから,宮本は楕円状のクラスターを得るためのハードクラスタリング法を提案している.本論文では,さらにメンバシップ値を区間 [a b] に制約することでセミハードクラスタリングのアルゴリズムを提案する.そしてクラスタリング結果を識別器に用いてその性能をベンチマークデータで比較する.識別器には,K-L情報量正則化FCM法や修正FCM法を考慮して,標準ファジィc平均法の目的関数に定数を加え,そこから導かれるメンバシップ関数にセミハードクラスタリングでの共分散行列を用いる.識別性能を最適化するためのパラメータ探索には粒子群最適化法(PSO)を用いる.提案識別器の識別精度はSVMにほぼ等しく,k-NNに比べて優れた結果が得られた.

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© 2010 日本知能情報ファジィ学会
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