2012 年 24 巻 5 号 p. 921-932
近年,情報システムがユーザへ情報を提示する機会が増えてきている.しかし,情報提示タイミングや提示頻度,提示方法にユーザの作業状況が適切に反映されることは少ない.本研究では,円滑なインタラクション開始を支援する秘書エージェントの実現に向け,外部からの情報提示(割り込み)要求を一括して調停し,割り込みによる作業効率低下を軽減するインタラクション開始支援法を提案する.エージェントは,PC 作業履歴からユーザの割り込み拒否度を推定し,提示タイミング制御を行う.さらに,推定結果に合わせ,CGキャラクタの共同注視・視線交差により,ユーザへ割り込み要求をアンビエントにアピールする.実験により,拒否度推定に基づくタイミング制御とアピールによるアンビエント情報提示が,それぞれ割り込みによる負荷の軽減に有効であることを示し,さらに,両手法の組み合わせが割り込みによる作業効率の低下を軽減する可能性を示した.