2018 年 31 巻 1 号 p. 12-20
インプラント治療は手術という観血処置を伴うため,従来の歯科治療の延長線上にある治療ではない.インプラント手術に関連するトラブルには,手術部位感染,神経損傷,上顎洞炎,上顎洞内インプラント迷入,創の裂開,治癒不全などがあるが,その原因には基本的な手術に関する術者の知識不足やスキル不足によるものが少なくない.
手術で重要なことは感染防御である.手術部位感染を防ぐためには,清潔な手術環境を整え,正しい器具機材の管理法,扱い法,清潔な手術操作の知識と技術の習得が不可欠である.本稿では手術部位感染防止のための原則と習得すべき基本手術手技に関して,論文や文献をもとに現時点で一般的に推奨されている事項を解説する.