日本口腔インプラント学会誌
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原著(基礎研究)
インプラント位置再現性を向上させる口腔内スキャナーサポートシステムの検討
村上 高宏田中 眞治菅野 岳志坂倉 美菜子今田 裕也木村 健二田中 譲治
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2021 年 34 巻 1 号 p. 61-68

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抄録

近年,口腔内スキャナーの適応症例は拡大しているが,インプラント体間の距離が大きくなるとインプラント位置再現性は低下してしまうことが知られている.そこで本研究では,口腔内スキャナーサポートシステムの有用性を検証するため,通法の光学印象法,口腔内スキャナーサポートシステムを用いた光学印象法,シリコーン印象法のスキャニングデータをそれぞれ取得し,三次元解析ソフトにて比較検討を行った.まず,上顎無歯顎石膏模型に6本のインプラント体を埋入し,マスターモデルを製作した.その後,インプラント体にスキャンボディを装着し,基本データの取得を行った.次に,口腔内スキャナーを用い,通法の光学印象を行った場合(IOS)と口腔内スキャナーサポートシステムを併用し光学印象を行った場合(IOS-SP)でマスターモデルのスキャニングデータを取得した.シリコーン印象法の作業模型を製作するため,ベリフィケーションインデックスを利用して印象採得し,ストローを用いて二回法で石膏を注入した.その後,作業模型のデータを取得した(IMP).取得したデータは基本データとIOS,IOS-SP,IMPそれぞれを解析ソフトにて重ね合わせ,適合率とカラーマッピングにて評価を行った.その結果,IOS-SPの適合率が最も高い値を示し,統計学的な有意差を認めた.以上より,口腔内スキャナーサポートシステムを通法の光学印象法に応用すると,インプラント位置再現性は向上することが明らかとなった.

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© 2021 公益社団法人日本口腔インプラント学会
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