2015 年 27 巻 3 号 p. 21-29
再建,特に下顎再建を含めた顎顔面口腔再建の標準化は極めて難しい。再建手術における標準化には2つの意味があると考えている。ひとつは再建方法,すなわち術式の標準化であり,もうひとつの意味は再建目的の標準化である。再建術式には様々な選択肢があるが,施設ごとの習慣や,場合によっては時々の流行,さらには医療者の技術やセンスなどに従って選択される傾向があるという特性を有する。再建手術が一種のartであり,「マイスターによるテイラーメキング」の特性を有していることは否定できない事実である。しかし,悪性腫瘍治療のみならず医療全体が科学的根拠重視,標準化の方向へ進みつつあることを考慮すると,再建手術もその大きな流れに逆らえない。これからは「scientist」による「practice」も強く要求される時代になるはずである。仮に術式の標準化を検討するにしても,最終的なゴールをどこに置くか,すなわち「再建の目的」を共通の認識,共通の言語として持たなければ,術式の選択と言うその先の標準化へはつながらない。再建目的の標準化は,術式の標準化を含めた標準的治療法決定の重要な第一歩と考えられる。この様な特性を有する下顎再建を含めた顎顔面口腔再建の標準化にはGRADE システムは最適なシステムであると考えられる。