2015 年 27 巻 4 号 p. 88-94
本研究は,舌癌に対する可動部舌切除が構音機能,舌運動に及ぼす影響を評価することを目的とした。
構音機能評価は日本語100音節発語明瞭度検査および会話明瞭度検査を行い,舌運動機能は舌の咀嚼運動における時間計測で評価した。患者は舌切除法により口内法切除群(n=64)とPull through法切除群(n=45)に分け,さらに切除後の治療法によりサブグループに分類した。
口内法切除群における発語明瞭度は91.7−93.6%と良好であった。一方,舌運動機能は植皮群が縫縮群,人工真皮群に比較して有意に低い結果であった。Pull through法切除群では,舌部分切除,可動部舌半側切除群の発語明瞭度は81.5%−89.2%と良好であったが,可動部舌亜全摘は65.1%,可動部舌全摘は37.4%と有意に低かった。 可動部舌亜全摘,全摘では構音機能,舌運動機能は不良であった。