2016 年 28 巻 3 号 p. 149-154
IgA血管炎は,以前Henoch-Schönlein紫斑病と呼ばれており,IgA抗体優位の免疫複合体が小血管へ沈着することで発症し,進行するとネフローゼ症候群や腎障害を併発する疾患である。今回われわれは,84歳女性で左側上顎歯肉癌の術後33日目に両側下肢に紫斑を認めた症例を報告する。臨床症状および生検結果からIgA血管炎と診断された。ジアフェニルスルホンおよびプレドニゾロンの内服により紫斑および腎機能が改善し,以後,原疾患の上顎歯肉癌の再発および紫斑の再燃を認めず経過良好である。