2000 年 12 巻 4 号 p. 327-331
口腔粘膜の悪性黒色腫は稀で, しかもその予後は極めて悪く, 確立された治療法は今なお存在しない。今回, 我々は無色素性悪性黒色腫の症例に対しインターフェロンによる免疫療法を施行し一時的ではあるが有効であった。患者は70歳男性, 主訴は右側上顎歯肉の腫脹, 疼痛, 出血および右側顎下部の腫脹。初診時, 右側上顎歯肉に辺縁不整の腫瘤を認め, 右側顎下部に不可動性, 圧痛を有するリンパ節を触知した。試験的切除により無色素性悪性黒色腫の診断を得, 118日間, 総計35.900×104IUのインターフェロンβの持続動注療法を施行し, 原発巣の消失および顎下リンパ節転移巣の著明な縮小を認めた。