日本口腔腫瘍学会誌
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舌扁平上皮癌における外科病理学的診断上の評価項目についての検討
―脈管侵襲と神経周囲浸潤―
佐藤 徹栃原 しほみ清河 年剛臼井 弘幸浅田 洸一石橋 克禮雨宮 愛菅原 信一
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2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 205-210

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抄録

口腔癌の病理組織学的予後因子としての脈管侵襲 (VI) と神経周囲浸潤 (PNI) の意義を評価するために, 一次治療で切除術を施行した48例51病変における舌扁平上皮癌の全割標本を検索した。脈管腔を正確に同定し, アーティファクトによる偽陽性を除くため, VIの検索については脈管内皮細胞を検知できる第皿因子関連抗原とCD31に対する抗体を用いた免疫組織化学を行った。加えて, 血管への腫瘍塞栓同定のために弾性線維染色も行った。
VIとPNIはそれぞれ9病変 (17.6%) , 7病変 (13.6%) に認めた。VIを認めた9病変の内訳は, 4病変にリンパ管侵襲 (ly) を, 9病変すべてに静脈侵襲 (v) を認めた。すべてのT1病変と深達度4mm以下の病変ではVIもPNIも認めなかった。しかし深達度10mm以上の病変では, それ以下の病変よりVIの頻度が有意に高かった (p<0.01) 。臨床的には, VIのある病変では頸部転移率がより高かったが有意差は認めなかった。v (+) ・ly (+) の病変では, v (-) ・ly (-) の病変より術後の局所頸部再発率が有意に高かった (p<0.05) 。PNIについては腫瘍の深達度との関連が伺えたが, 有意な予後因子ではなかった。
VIはその頻度自体が低いので, vとlyそれぞれの予後因子としての価値は本研究からも依然不明瞭のままであった。
Vとlyの正確な定義のもとに, その価値を明らかにするための多施設研究が望まれる。

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