日本口腔腫瘍学会誌
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舌扁平上皮癌の造影MRI所見の分析
―周囲組織との境界性状について―
有吉 靖則島原 政司
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2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 239-243

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抄録

舌扁平上皮癌40症例を対象に, dynamic enhanced MRIにおける境界性状と臨床的ならびに病理組織学的所見との関連性の検索を行った。撮像は冠状断T1強調像 (スピンエコー法, TR/TE=200/20) にて行った。関心領域 (ROI) 内の信号強度を測定し, 各時点におけるSE/Nを算出し, SE/Nが最高値を示した時点の画像において境界性状の評価を行った (明瞭型, 不明瞭型) 。臨床的には, 進展度, 発育様式, 病理組織学的には浸潤パターン, ステージならびに単核細胞浸潤と境界性状との関連性につき検索した。結果は以下の如くである。
1.明瞭型を示す症例と比較し, 不明瞭型を示す症例が多く認められた。
2.臨床的には, 内向型腫瘍は外向型ならびに中間型腫瘍と比較し, 造影MRIにおいて周囲組織との境界が不明瞭に描出される傾向が認められた。
3.病理組織学的には, 浸潤パターンと造影MRIの境界性状との間に有意な関連性が認められた (p<0.01) 。
以上より, 造影MRIにおける周囲組織との境界性状は, 腫瘍浸潤範囲をMRIにて診断する際, 重要な所見の一つであることが示された。

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