2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 271-276
Stage I, II口腔扁平上皮癌の治療法の違いによる転帰への影響を明らかにする目的で, 切除生検後術前化学療法 (IB+chemo) 施行例124例と摘除生検 (EB) 施行例61例を対象に各種予後因子についてretrospectiveに比較検討を行った。術前化学療法の効果は大星・下里分類により, III+IV (n=32) , II b (n=48) , I+II a (n=44) に分類し, EBとの比較検討を行った。単変量解析, および多変量解析にてI, IIaではEBに比べ有意に原発巣再発, 頸部転移が多かった。さらに, Coxの比例ハザードモデルによる多変量解析にて術前化学療法効果 (EBとの対比) が予後因子として選択された。EBに比べ, IB+chemoを施行し, その効果がI, II aであったものでは, 再発, 転移が多く予後不良因子であることが明らかとなった。