2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 277-282
口腔扁平上皮癌周囲には, 上皮性異形成のひろがりがみられることが多く, これらの取り残しが局所再発や二次性癌の発現に深くかかわっているといわれている。特にexcisional biopsyの対象となる表在性病変では, これら上皮性異形成の発現が多い。
この研究の目的は, ヨード生体染色を用いexcisional biopsyの切除範囲を設定することの有用性を検討することである。対象としては舌癌49症例をA群25例 (ヨード染色なし) とB群24例 (ヨード染色応用) に分け比較検討した。その結果局所再発はA群: 4例 (16%) , B群1例 (4.2%) であり, 迅速診断で切除断端に上皮性異形成 (+) はA群: 8例 (32%) , B群: 2例 (8.2%) であった。
したがってexcisional biopsyの切除範囲設定に際して, ヨード生体染色は腫瘍周囲にひろがる上皮性異形成を明確に描出できるため, 大変有用であると考えられた。