日本口腔腫瘍学会誌
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口腔扁平上皮癌の悪性度組織診断における細胞特性の多様性
立川 哲彦入江 太朗斉藤 雅子相田 忠輝前田 由紀子山本 剛土屋 玲子
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2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 331-337

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抄録

癌細胞の悪性度表現として, 1.腫瘍細胞ないし組織の形態の異型性が強いこと。2.腫瘍の増殖が早く, 腫瘍周囲の組織を破壊すること。3.転移を形成することが挙げられる。たとえば, 核クロマチンの増加や不均一性は核細胞質問の物質交換の亢進あるいは異常な相互作用の反映として見られ, その結果, 蛋白合成過程の異常が出現する。核小体の増大は細胞増殖の亢進, より多くの迅速なRNAのターンオーバーの結果としてみられる。同時に, 細胞分裂は細胞増殖性の亢進, 細胞周期の変調, 染色体異常の発生を示唆するものである。この様に細胞が悪性化し, 増殖能を獲得することにより, 細胞には多様な表現が出現する。本研究では, 癌細胞の悪性度表現について, 免疫組織学的および遺伝子解析を行い, 癌細胞の多様な悪性度を検索した。その結果, 悪性度の表現形質は癌細胞の形質をもっとも良く反映している部位である細胞増殖域を検索することが重要であることを示した。

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