日本口腔腫瘍学会誌
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口腔癌の核DNA量に基づく悪性度診断
野口 誠金城 尚典仲盛 健治久保田 裕美木戸 幸恵竹村 佳奈子宮崎 晃亘小浜 源郁
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2001 年 13 巻 Suppliment 号 p. 339-343

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抄録

口腔扁平上皮癌における核DNA量の予後因子としての意義を検討した。イメージサイトメトリーを用いて, 197例の口腔扁平上皮癌の生検組織のパラフィン包埋切片における腫瘍発育先進部の癌細胞の核DNA量を測定した。得られたDNAヒストグラムの評価として, 超4c率 (4cを越える癌細胞の比率) を用いた。
197例の超4c率は最低値0から最高値51%にわたり, 中央値は9.7%であった。各種臨床病理組織所見との関連をみると, 癌の進展と悪性度との関連がみられた。全症例の5年累積生存率は75%で, 超4c率9.7%未満群: 90%, 超4c率9.7%以上群: 60%であった。癌浸潤様式 (山本・小浜分類) の各モードごとに超4c率と生存率との関係をみると, モード1および2を除き, 超4c率が低値の群で良好な傾向がみられたが, 推計学的に有意差がみられたのはモード3のみであった。そこで, モード3のみを対象に予後因子の多変量解析を行ったところ, 超4c率が最も独立性の高い因子であった。
以上より, 超4c率は有用な口腔癌の予後因子となり得ることが示唆された。

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