日本口腔腫瘍学会誌
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原発性顎骨中心性癌の3例
古賀 真豊福 司生吉田 憲史古賀 千尋楠川 仁悟
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2003 年 15 巻 3 号 p. 57-64

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抄録

顎骨中心性にみられる癌腫はまれで, 歯原性嚢胞や腫瘍, 顎骨骨髄炎, 顎骨への転移性癌や浸潤癌などとの鑑別を必要とし, 診断に苦慮することも少なくないが, その詳細な検討は少ない。そこで, 当教室で経験した顎骨中心性癌3例について報告するとともに, 文献的な考察を加えて報告する。
症例1: 64歳, 女性。右下顎骨体部の腫脹を主訴に1995年10月16日当科受診となった。臨床診断は右下顎骨中心性癌であった。術前化学療法としてPEP総量40mgを投与後, 全麻下に下顎骨部分切除術, 右全頸部郭清, 左顎下部郭清を行った。術後5年が経過したが再発なく良好に経過している。
症例2: 56歳, 男性。右下顎骨体部の疼痛を主訴に1989年9月13日当科受診となった。臨床診断は右下顎骨中心性癌であった。術前療法としてPEP総量67.5mgの投与ならびにCo60総量19.5Gyの照射をおこない, 同年11月10日, 全麻下に下顎骨半側切除, 右全頸部郭清を行った。術後5年が経過したが再発なく良好に経過している。
症例3: 51歳, 男性。口蓋部の腫脹を主訴に1999年8月20日当科受診となった。臨床診断は歯原性嚢胞に起因した上顎骨中心性癌であった。同年10月4日, 全麻下に上顎骨亜全摘術を行った。術後3年4か月が経過したが再発なく良好に経過している。

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