2006 年 18 巻 1 号 p. 1-5
エホバの証人は宗教上の理由から輸血を拒否し, 比較的侵襲の大きな手術を予定する際にさまざまな問題を生じる可能性がある。今回われわれは, 2名のエホバの証人患者に口腔癌手術を行ったので報告する。
症例1は64歳女性の下顎歯肉癌 (T2N2bM0) で, 頸部郭清, 下顎骨辺縁切除を施行した。出血量は300gであった。症例2は50歳男性の舌癌 (T2N2bM0) で, 頸部郭清, 舌半側切除, 大胸筋皮弁移植を施行した。出血量は445gであった。いずれも術前に患者と免責証書を取り交わし, 手術は低血圧麻酔下で行われた。エホバの証人の治療に関する問題点についても考察を行った。