日本口腔腫瘍学会誌
Online ISSN : 1884-4995
Print ISSN : 0915-5988
ISSN-L : 0915-5988
アンケート調査よりみた舌扁平上皮癌治療の現状と問題点
前田 顕之大関 悟有地 榮一郎出雲 俊之大鶴 洋岡部 貞夫小村 健川辺 良一桐田 忠昭草間 幹夫迫田 隅男佐々木 朗篠原 正徳田中 陽一中村 太保野口 誠又賀 泉山城 正司
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 19 巻 3 号 p. 163-175

詳細
抄録

舌癌治療ガイドラインの作成にあたり, 日本での舌扁平上皮癌治療の現状を把握するためアンケート調査を行い, 75回答の集計結果から本邦における舌扁平上皮癌治療の現状を報告した。
有効回答の得られた75施設の過去10年間 (1995-2004) における総症例数は5, 906例であった。T, N分類ではT2が2, 700例 (45.7%) , N0が4, 367例 (73.9%) と最も多かった。
手術療法では原発巣の切除範囲の適応基準, 頸部リンパ節転移に対する頸部郭清術および舌癌切除後の再建術における適応と術式については, 各施設とも適応基準がほぼ共通しており標準的な治療ガイドラインの作成は可能であるように思われた。
一方, 原発巣や頸部の放射線や化学療法による, 術前・術後の補助療法の目的と適応が各施設それぞれに基準があり, その標準化はガイドライン作成の大きな問題点になると思われた。いずれにしても質の高いエビデンスを持つ治療法をガイドラインに盛り込む必要がある。

著者関連情報
© 日本口腔腫瘍学会
前の記事 次の記事
feedback
Top