日本口腔腫瘍学会誌
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Print ISSN : 0915-5988
頭頸部癌に対する動注化学療法 (シスプラチン+ペプロマイシン) と放射線療法の併用による術前治療
川崎 清嗣芝 良祐鹿嶋 光司平部 勇人岩崎 浩行入野 伸一釘宮 淳司
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1990 年 2 巻 2 号 p. 172-180

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抄録

術前治療として, 放射線治療に動注化学療法を併用することの有用性を検討するために, 未治療の頭頸部扁平上皮癌患者14名を対象に, 以下の調査を行った (放治化療併用群) 。なお, 当科にて術前治療として放射線治療のみを受けていた全症例 (10名, 放治単独群) を, 対照として比較検討した。放治化療併用群では術前に動注化学療法 (シスプラチン20mg/m2/week×2回+ペプロマイシン5mg/body/day×10回) と放射線治療 (60Co: 2Gy/day, toal20-30Gy) が, 放治単独群では放射線治療のみ (60Co: 2Gy/day, total 20-34Gy) が術前に施行された。両群とも術前治療終了7~10日後に全摘手術を行い, 摘出物から組織標本を作製して, 大星の分類により治療効果を判定した。結果は, 同分類でGrade IIB以上を有効として有効症例数を比較したところ, 放治化療併用群では79%, 放治単独群では30%が有効であり, 前者の有効率が有意に高かった。副作用に関しては, 口内炎, 脱毛が放治化療併用群で有意に強かった。また, 放治化療併用群を総照射線量20Gyのものと20Gyを越すものとに分けて, 抗腫瘍効果および口内炎の程度を比較したところ, 組織学的抗腫瘍効果には有意差を認めなかったものの, 口内炎の程度については有意差を認めた。即ち, 総照射線量を20Gyに制限することで, 十分な治療効果を保ちながら, 後続治療に影響を及ぼすような重度の口内炎は制御できることが分かった。

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