日本口腔腫瘍学会誌
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口底癌の深部進展様式に関する予備的研究: 特有の進展様式はあるか?
野口 誠朽名 智彦能登 善弘今上 修一能登 久美子金 佳美井上 さやか
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2008 年 20 巻 4 号 p. 277-281

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抄録

口底癌の腫瘍切除に際しては重要であるにもかかわらず, その進展様式に関する研究成果は乏しい。本予備的研究においては, 切除を行った口底癌20例における腫瘍の進展組織について, 病理組織学的に検討を行った。深部組織への腫瘍進展が観察されたのは, 17例であった。口底を形成する解剖学的組織で, 腫瘍の進展が最も多く認められたのは舌下腺 (13/17例, 77%) , 内舌筋 (12/17例, 71%) であった。顎舌骨筋および顎下腺への進展例はみられなかった。口底癌の発生部位別では, 正中型は側方型に比較して, 内舌筋およびオトガイ舌筋への進展例が多くみられる傾向であった。
本研究においては, 結論づけられる結果は得られなかった。口腔外科医にとって有用な情報を得るために, 多数例の臨床病理学的データに基づく詳細な検討が望まれる。

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