日本口腔腫瘍学会誌
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温熱療法を併用した頬粘膜進展癌の2例
瀬川 清福田 喜安青村 知幸八木 正篤斎藤 善広横田 光正大屋 高徳工藤 啓吾藤岡 幸雄坂巻 公男
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1991 年 3 巻 1 号 p. 18-25

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抄録

頬粘膜進展癌の2例に対し温熱療法を組み入れた集学治療を施行し, 良好な経過を辿っているので報告する。
症例1: 61歳, 男性。高分化型扁平上皮癌 (T3N2bM0) で, 治療はPM療法5クール (PEP1回2.5mg計72.5mg, MMC1回10mg計50mg) , 60Co36Gy, 温熱療法を頬部に5回, 頸部に6回, OK-432を総量44.5KE投与し, 左側全頸部郭清, 腫瘍切除, D―P皮弁による頬部全層欠損の即時再建術を施行した。症例2: 69歳男性, 高分化型扁平上皮癌 (T4N2bM0) 。右側浅側頭動脈を用いてCDDP150mg, PEP70mg, 5-FU1回125mg計2000mgを動静注し, 60Co照射を頬部, 頸部にそれぞれ40.5Gy, 60.5Gy併用した。さらに温熱療法を頸部に9回併用し, OK-432を術前に総計40.4KE投与した。1988年6月7日, 右側全頸部郭清, 腫瘍切除, 植皮術を施行した。
初診より4年と2年7か月経過した現在、再発・転移なく経過良好である。2例とも重大な合併症も無く, 予定の化学療法, 放射線療法が施行でき, 根治的手術が可能であったことが良好に経過している要因と考えられた。

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