日本口腔腫瘍学会誌
Online ISSN : 1884-4995
Print ISSN : 0915-5988
ISSN-L : 0915-5988
口腔癌に対するCP+放射線同時併用療法の効果について
―化学療法単独との比較も含めて―
桐田 忠昭岡本 雅人堀内 敬介増田 達雄望月 光治堀内 克啓杉村 正仁
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 3 巻 1 号 p. 40-48

詳細
抄録

我々は口腔癌に対して, CDDP+PEPと放射線の同時併用療法 (CP+R療法) について, その効果と共にCDDP+MTX+PEP (CMP療法) 単独施行症例との比較をも含めて, 考察を加え報告した。
対象は1986年より1989年までの口腔癌一次症例のうち, CMP単独施行症例9例 (男8例, 女1例) とCP+R施行症例12例 (男10例, 女2例) で, 年齢は43~74歳, 組織型は全例扁平上皮癌であった。部位別およびTNM分類では, 舌5例 (T25例) , 口腔底7例 (T23例, T33例, T41例) , 歯肉8例 (T22例, T46例) および頬粘膜1例 (T41例) で全例M0であった。
臨床的効果における治療奏効度はCMP単独ではCR3例, PR2例, NC3例, PD1例で有効率56%, CP+RではCR6例, PR5例, NC1例, PDO例で92%となり, 放射線併用療法群では効果が高く, 特にCR率は, CP+R群では50%と高率になり, 又これはCP2Kur, 照射40Gy施行例に認められた。組織学的効果についても, CMP群の有効率43%に比し, CP+R群では有効率80%となり高い効果が得られ, そのうちGrade III以上の著効例が75%を占めた。組織学的悪性度に関しては, 16点以上の高悪性度群に対してCMP群では無効例が多かったが, CP+R群では低悪性度群だけでなく高悪性度群に対しても, 十分効果が期待できる結果であった。両療法とも副作用は一過性で, 重篤なものはなく, 臨床的および組織学的奏効度からみても, CP+R療法は非常に有用であると考えられた。しかし, 頸部リンパ節への効果は未だ満足できるものでなく, その制御には手術に勝るものはないと考えられた。

著者関連情報
© 日本口腔腫瘍学会
前の記事 次の記事
feedback
Top