日本口腔腫瘍学会誌
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口腔癌に対するUFT・プラチナ誘導体併用療法にて著効を得た2症例
石部 幸二柳澤 繁孝平野 公彦檀上 隆昭松島 凛太郎河野 憲司清水 正嗣
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1992 年 4 巻 1 号 p. 56-62

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抄録

Neo-adjuvant chemotherapyの一環として我々は口腔癌に対しUFTとプラチナ誘導体の併用療法を施行し, 良好な結果が得られた2例についてその概要を報告する。
症例1: 77歳女性, 右舌扁平上皮癌, T2N0M0, StageII, 山本・小浜分類による癌浸潤様式2型。初診時, 生検を施行し, その直後よりUFT600mg/day投与開始した。入院後の7月11日カルボプラチン400mg投与し, 投与後約2週間で臨床的に著効と判定した。組織学的効果を確認するため生検を施行したところ大星・下里分類にてGrade IVであった。後継治療としてX線外照射40Gy施行, 6ヶ月経過後の現在, 再発転移は認められていない。
症例2: 58歳男性, 右下顎歯肉扁平上皮癌, T2N1M0, Stage III, 山本・小浜分類による癌浸潤様式1型。11月6日入院下に生検を施行し, UFT600mg/dayを開始した。11月20日シスプラチン100mg投与し, 投与後12日には縮小率76%となった。さらに12月6日シスプラチン2回目投与し, 投与後約2週間で腫瘍は大部分消失した。12月20日右下顎歯肉腫瘍摘出術を施行し, その摘出物組織所見においては大星・下里分類Grade II bであった。術後3ヶ月経過後の現在, 腫瘍の再発転移は認められていない。

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