日本口腔腫瘍学会誌
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口腔前癌病変および扁平上皮癌におけるCopper-Zinc Superoxide DismutaseとGlutathione S-Transferase-πの免疫組織化学的検討
高橋 喜浩松島 凛太郎清水 正嗣中山 巌
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1997 年 9 巻 4 号 p. 251-260

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抄録

活性酸素スカベンジャーと口腔前癌病変および口腔扁平上皮癌の発症との関連を検討した。
材料および方法: 検体は, コントロールとして健常粘膜を歯肉や口蓋粘膜から採取し, また, 口腔扁平苔癬, 白板症および扁平上皮癌 (SCC) 患者の病変部より採取した。SCCでは, 周辺部の非過形成上皮 (NHE) と過形成上皮 (HE) についても観察した。coPPer-zinc superoxide dismutase (CuZn-SOD) およびglutathione S-transferase-π (GST-π) に対する抗体を用いABC法による免疫組織化学染色を行った。
結果: 健常上皮では, CuZn-SODは基底細胞層に認められ, GST-πは陰性であった。口腔扁平苔癬では, いずれも陰性。白板症では, 両酵素とも上皮全体に強い陽性所見を示したものがあり, 特にGST-πは, 異形成を伴ったもので57.1%の陽性率を示した。SCCでは, 両酵素とも腫瘍細胞に陽性を示し, GST-πは87.5%と高い陽性率を示した。HEでは, CuZn-SODの陽性所見を上皮全体に認めたものがあったのに対し, NHEでは, 基底層のみ陽性所見を認めた。一方, GST-πは, HEで87.5%, NHEで75%の陽性率を示し, 上皮全体に陽性所見を示していた。CuZn-SODとGST-πの両方の発現は, HEで最も多く, 次いでSCC, 白板症, NHEの順であった。
まとめ: 今回の結果から両方の酵素の発現, 特にGST-πの発現と口腔粘膜での癌の発生との関連が示唆された。

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