歯科薬物療法
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AIDS患者にみられた難治性再発性アフタの1例
~長期副腎皮質ホルモン療法の有効性と問題点~
森本 佳成古西 満今井 裕一郎稲掛 耕太郎福辻 智桐田 忠昭
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2007 年 26 巻 2 号 p. 55-60

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抄録
HIV感染者における再発性アフタ性口内炎 (RAS) は, 副腎皮質ホルモン剤軟膏の局所塗布や, プレドニゾンまたはプレドニゾロン40~60mg/日を14日以内の経口投与により治療される.しかし, 免疫状態が改善しない場合は, 短期間に大型のアフタ性口内炎の再発をくり返す.われわれは, AIDS患者に発症した難治性RASに対し, 長期プレドニゾロン療法を用いて治療した.
患者は血友病B (重症型) で, AIDSを発症していた.アフタ性病変は, 直径10~15mmを呈した.副腎皮質ホルモン剤軟膏の塗布には反応せず, プレドニゾロン40mg/日を4~7日の経口投与にて消退した.しかし, 免疫能が高度に低下した時期には, 短期間にアフタ性口内炎の再発をくり返した.そこで, プレドニゾロン5mg/隔日投与を行い, 副作用なく以後の再発は抑制できた.
免疫能が高度に低下している時期におけるRASの治療には, 長期プレドニゾロン療法は有効であった.本療法においては, 副作用を避けるために, 内科医と歯科医の密接な相談やチームワークが必要である.
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