日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
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原著
食物によるアナフィラキシーショック症例の検討
吉田 晃小倉 一将田中 里江子
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ジャーナル 認証あり

2008 年 22 巻 1 号 p. 108-115

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抄録
2003年1月から2005年12月までの3年間で,当センターを救急受診した小児の患者のべ25,574例のうち,食物によるアナフィラキシーショックで受診したのは,のべ13例(0.05%)13人であった.年齢は6ヶ月から15歳で,2歳以下が6人と約半数であった.性別は男児が9人,女児が4人であった.原因食物は,卵が5人,魚類が2人,ピーナッツが1人,小麦が1人,モモが1人,であり,残りの3人は確定することはできなかった.
複数回ショック発症例は4例で全員男児であり,1歳と4歳の症例は卵の誤食であり,11歳と15歳の症例は食物依存性運動誘発アナフィラキシーであり,本疾患を認識していなかったため繰り返しショックとなった.
食物摂取から発症までの時間は,10分以内が8人と最も多かった.発症から来院までの時間は,医療機関までの距離,来院方法,症状の出現の仕方などにより左右される.30分以内に来院できた症例はなく,31~60分が9人と最多であった.ショックに対し治療開始までの時間が予後を決定するため,医療機関受診までの所要時間を考慮し,エピネフリン自己注射の常備や,患児,保護者だけでなく学校・園においても食物アレルギーやショックに対する認識などが大切である.
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© 2008 日本小児アレルギー学会
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