2008 年 22 巻 5 号 p. 773-778
《目的》ICS 吸入療法中に維持できていたアドヒアランスが低下した前思春期気管支喘息患児に,その維持と向上に必要であった患者教育について検討した.
《対象と方法》対象は大阪回生病院小児科通院中で,維持できていた ICS 吸入療法のアドヒアランスが低下した,前思春期中等症持続型気管支喘息児5例である.心理的介入を試み,呼吸機能(%FEV1.0値・%V'50値)を客観的指標としてその臨床効果を検討した.
《結果》養育者と患児との「共同作業=吸入療法」を継続実施し,患児が養育者の支援継続の保障を実感することが,アドヒアランス向上とその維持に必要であった.臨床症状のみならず呼吸機能も改善し,2年間アドヒアランスは維持できた.
《結論》前思春期気管支喘息診療において,ICS 療法アドヒアランスを改善また維持するために,養育者と患児の相互関係のひずみを修復する介入と患者教育を必要とする場合があると考えた.