日本小児アレルギー学会誌
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原著
奈良県下小児科標榜医に対する模擬症例による小児気管支喘息治療調査2011:2005, 2007との比較
清益 功浩大塚 晨河原 信吾櫻井 嘉彦柴田 優南部 光彦新家 興村上 義樹
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2012 年 26 巻 4 号 p. 612-621

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抄録

我々は奈良県で,小児気管支喘息患者の治療についてのアンケート調査を行った.2005年,2007年に使用したアンケート調査と同様の模擬症例を提示し,治療内容を調査した.奈良県下の小児科標榜の医療機関の医師にアンケート用紙を送付し,回収した.有効回答者数は86人であった.所属学会では(重複有り),日本アレルギー学会22%,日本小児アレルギー学会26%,日本小児科学会67%,日本内科学会22%であった.模擬症例1は,過去3ヵ月間に3回喘鳴の既往のあるアトピー型乳児喘息である.長期管理薬の選択として,ロイコトリエン受容体拮抗薬(74%)が最も多く,次いで,抗アレルギー薬(26%)であった.2007年の調査との有意な変化はなかった.DSCG定期吸入でのβ2刺激薬の併用は6%であり,2005年の調査時の40%に比べ有意に減少した.模擬症例2は,幼児期のアトピー型気管支喘息である.テオフィリン徐放製剤のRTC療法とケトチフェンを内服するも喘息発作が出現して来院,これまでも月に1回以上,週に1回未満の咳嗽がみられていた.長期管理薬の選択として,吸入ステロイド薬(64%)が最も多く,次いで,ロイコトリエン受容体拮抗薬(57%)であった.ロイコトリエン受容体拮抗薬の選択は2007年の調査に比べ有意に増加した.DSCG定期吸入でのβ2刺激薬の併用は22%であり,2007年の63%に比し,有意に減少した.今回の模擬症例での治療薬の選択では,DSCG定期吸入時のβ2刺激薬の併用の減少と,ロイコトリエン受容体拮抗薬の増加が明らかとなった.

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© 2012 日本小児アレルギー学会
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