日本小児アレルギー学会誌
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原著
西日本小学児童におけるアレルギー疾患有症率調査―1992, 2002, 2012年の比較―
西間 三馨小田嶋 博太田 國隆岡 尚記岡崎 薫金谷 正明久田 直樹熊本 俊則古賀 龍夫小林 伸雄里見 公義島田 康下村 正彦須田 正智砂川 功千阪 治夫永田 良隆中村 亨西川 清平場 一美藤野 時彦藤原 崇本荘 哲前田 利為松本 重孝南 武嗣宮里 善次
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2013 年 27 巻 2 号 p. 149-169

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抄録

西日本地方11県の同一小学校児童を対象に1992年(n=46,718),2002年(n=36,228),2012年(n=33,902)にアレルギー疾患有症率を調査し,次の結果を得た.
1.1992, 2002, 2012年のそれぞれの有症率は,アレルギー性鼻炎(AR):15.9, 20.5, 28.1%,アトピー性皮膚炎(AD):17.3, 13.8, 11.7%,アレルギー性結膜炎(AC):6.7, 9.8, 11.4%,気管支喘息(BA):4.6, 6.5, 4.7%,スギ花粉症(P):3.6, 5.7, 9.9%であった.
AD, AR, AC, BA, Pのいずれか1つ以上を有するものは31.3, 34.1, 38.6%で,その累積有症率は45.5, 48.5, 50.6%であった.AD, BAは減少し,AR, AC, Pは増加していた.
2.都市部,中間部,非都市部別の有症率では2002, 2012年ともに大きな差はなくなり,性別では2012年は全ての疾患に男子が多かった.
3.AR, AC, Pは年長児に多く,AD, BAは年齢による差はなかった.
4.乳児期栄養,室内喫煙,暖房,冷房別では全ての疾患において大きな差は出なかった.
5.家族歴(父母,同胞)でアレルギー疾患を有する者,既往歴に下気道感染症を有する者にアレルギー疾患全ての有症率が著明に高かった.
6.2012年に初めて行った食物アレルギー(FA),アナフィラキシー(An)の有症率はそれぞれ3.6%,0.8%であった.

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© 2013 日本小児アレルギー学会
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