日本小児アレルギー学会誌
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食物アレルギー診療ガイドライン2012
第10章 食物アレルギーの特殊型
相原 雄幸近藤 康人野村 伊知郎木村 光明
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2013 年 27 巻 4 号 p. 607-616

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抄録
食物アレルギー診療ガイドライン2012の第10章は通常の食物アレルギーとは臨床症状や経過,検査所見,誘発試験,診断などが異なる4疾患を特殊型として位置づけて記載している.
新生児・乳児消化管アレルギーは,消化器症状を主体とした細胞依存性アレルギー疾患であり,主要な原因は乳児用牛乳調整粉乳である.この疾患には多様性があり,今後細分類が課題となっている.
食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FEIAn)は,即時型アレルギーに分類される疾患であり,主要な原因食物は小麦と甲殻類である.確定診断には最重症例を除き誘発試験を実施することが望ましい.重症食物アレルギー症例に対する経口免疫療法中あるいは終了後のFEIAn発症,成人の疫学調査と診断率向上が課題である.
口腔アレルギー症候群(OAS)は,花粉と果物や野菜のアレルゲンとの交差反応性により発症する即時型アレルギーである.花粉症が先行する場合が多い.アレルゲンの解析が進んでいる分野である.口腔症状など軽微なものが主であるが全身症状もまれに起こる.ラテックスのへベインと果物・野菜クラス1キチナーゼとの交差反応性に起因したラテックス・フルーツ症候群(LFS)もOASと同様に即時型アレルギーであるが,全身性の重篤な症状をきたすこともまれではない.
これらの疾患はいずれも研究途上にあり,今後の研究の進展に伴って変容する可能性も否定できない.これらの疾患の解明がさらに進み,治療法の改善にもつながることが期待される.
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© 2013 日本小児アレルギー学会
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