日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
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原著
サルメテロール/フルチカゾンプロピオン酸エステル配合剤を導入した小児気管支喘息患者の特徴と有用性
佐々木 渓円柳田 紀之富川 盛光飯倉 克人佐藤 さくら海老澤 元宏
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ジャーナル 認証あり

2015 年 29 巻 1 号 p. 123-131

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抄録

サルメテロール/フルチカゾンプロピオン酸エステル配合剤(SFC)の適応と判断した気管支喘息患児について,その導入目的と治療効果を後方視的に検討した.対象は,2011年10月から12月にSFCを処方された62例(男児43例,女児19例)とした.SFCの導入時の年齢は,中央値11歳であった.フルチカゾンプロピオン酸エステルあるいはベクロメタゾンプロピオン酸エステルからICS力価として等量でSFCに変更された41例では,SFCの導入後に年間発作回数や呼吸機能検査値の有意な改善が認められた.SFCの導入理由(重複あり)は,喘息症状のコントロール(58.1%(36例)),呼吸機能低下(51.6%(32例)),運動誘発喘息(EIA)の存在(17.7%(11例))であった.症状のコントロールを目的とした群では年間発作回数が減少し,呼吸機能低下群ではその測定値が有意に改善していた.EIAの改善を目的とした群では,%V50,%V25が改善していた.以上の結果から,SFCの適応に関して上記因子を考慮することで導入目的に応じた治療効果が得られることが示された.小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2012のステップ3以上の治療をしていても,EIAを含む喘息症状や呼吸機能の改善を要する例が,SFCの適応となると考えられた.

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© 2015 日本小児アレルギー学会
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