日本小児アレルギー学会誌
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総説 シンポジウム1:食物アレルギーはなぜ増えたか~その真相に迫る~より
エピジェネティクスの観点から可能性を探る
滝沢 琢己西田 豊八木 久子佐藤 幸一郎徳永 真理小山 晴美荒川 浩一
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2016 年 30 巻 1 号 p. 21-26

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抄録

エピジェネティクスとは, 遺伝子配列の変化を伴わずに, その機能を変化させる仕組み, およびそれを探求する学問である. 主な機構としてDNAメチル化, ヒストン翻訳後修飾がある. 免疫細胞の分化にエピジェネティック修飾が関与していることなどから, アレルギーの発症にもエピジェネティクス制御の破綻が寄与していると考えられる. 保存したゲノムDNAを用いて, 制御性T細胞の割合を推定できることがわかり, DNAメチル化は, バイオマーカーとしても用いられるようになってきている. DNAメチル化をはじめとして, エピジェネティクスのアレルギー疾患への関与をさらに解明していくことは, これまでにはない側面からアレルギー疾患の病態をとらえ, 食物アレルギー罹患率増加の原因を解き明かす糸口となると期待される.

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© 2016 日本小児アレルギー学会
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