【目的】鶏卵アナフィラキシー児の急速経口免疫療法 (OIT) 中に抗ヒトIgEモノクローナル抗体であるオマリズマブ (OMB) を併用した症例を経験した. その臨床経過を検討し, 鶏卵のOITに対するOMBの併用効果に関して報告する. 【症例】症例は7歳男児で, 鶏卵アレルギーに対するOIT開始9か月後に気管支喘息の悪化を認め, OMBの投与が開始された. 患児は即時型の小麦アレルギーを合併していた. 【結果】OIT開始時の全身症状の誘発閾値は加熱全卵17.5gで, 急速法退院時の摂取量は炒り卵で全卵7.5g相当, 5か月時に維持量の60g相当に到達した. 開始から9か月まで1回摂取当たり11.6%に症状を認めていたが, OIT開始9か月時にOMBを開始した後は, 頻度は2.2~5.8%に著減した. 13か月時に10日間の除去のうえ, 鶏卵1個を無症状で食べられることを確認した. その後, 小麦もOITの方法に準じて摂取量を指示し, 制限なく摂取できるようになった. 【結語】OMBの併用により症状誘発の頻度が低下し, OITを安全に行うことができた. OMBの併用が鶏卵OITにおいて有効な手段になりうる可能性が示唆された. OMB投与終了後に耐性獲得の再評価が必要である.