日本小児アレルギー学会誌
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原著
血漿ヒスタミン測定が診断に有用であった食物依存性運動誘発アナフィラキシーの1例
松﨑 寛司本村 知華子赤峰 裕子岡部 公樹川野 聖明若槻 雅敏岩田 実穂子田場 直彦村上 洋子本荘 哲小田嶋 博
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2016 年 30 巻 2 号 p. 170-177

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抄録

症例は15歳男児. ラーメン1杯を摂取後に行ったランニング中に顔面の発赤・腫脹, 呼吸困難などのアナフィラキシー症状を認めた. それまで小麦製品摂取による即時型の誘発症状はなく, 小麦による食物依存性運動誘発アナフィラキシー (FDEIA) を疑い誘発試験を実施した. 誘発試験において症状は認めなかったが, 小麦負荷と運動負荷, アスピリン負荷と小麦負荷, アスピリン負荷と小麦負荷と運動負荷のいずれの組み合わせにおいても, 血漿ヒスタミン濃度が誘発試験前値の200%, 190%, 248%と上昇を認めたため, 小麦によるFDEIAと診断した. エピペン®を所持してもらい, 小麦製品摂取後2時間以内の運動制限と解熱鎮痛薬使用中の小麦製品摂取の制限ならびに運動制限について指導した. 血漿ヒスタミン濃度の上昇を診断に用いることで, 誘発症状がないために偽陰性と判断されることの危険を回避しうることは, 臨床上極めて有用である.

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© 2016 日本小児アレルギー学会
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