2016 年 30 巻 4 号 p. 553-561
【目的】児童館職員の食物アレルギーとアナフィラキシーの理解度と対応の実態, その問題点を明らかにする. 【方法】食物アレルギー講習会を受講した児童館職員73人に対しアンケートを実施し, 講習前後での理解度の変化を解析した. 【結果】食物アレルギーやアナフィラキシーの認知度が高いほど, エピペン®の使用法の理解度が高かった. 食物アレルギーの児童の担当経験や担当予定がある場合は, 対応法が決定されている割合が高かった. 講習後に, 皮膚症状に基づき救急車要請を行うと回答した割合は変化しなかったが, 呼吸器症状に基づき救急車要請を行うと回答した割合は有意に増加した. 【結論】児童館職員を対象とした食物アレルギー講習会は職員各々の危機意識を高めるうえで有用である. 適切な対応を行ううえで, 重症度をつかまえにくい呼吸器症状を中心に, アナフィラキシー症状やその対応に対する啓蒙を行うことが重要である.