2016 年 30 巻 5 号 p. 627-634
【背景】アレルゲン免疫療法はアレルギー疾患の唯一の原因特異的治療であり, その効果は低年齢児でより期待される. 近年, 低年齢児への免疫療法が注目されているが, わが国で低年齢児に特化した環境アレルゲン免疫療法の報告はない. 【目的】低年齢児へのハウスダスト急速皮下免疫療法 (RIT) の安全性と効果を検討する. 【方法】診療録より後方視的に検討した. アレルギー性鼻炎 (AR) があり, ハウスダストに感作があって, ハウスダスト急速皮下免疫療法を施行した児を対象とした. 治療開始時年齢が6歳未満を低年齢群 (12名) とし, 6歳以上の群を高年齢群 (27名) として対照群とした. 安全性として全身反応の頻度, 治療効果としてアレルギー性鼻炎の症状・薬物スコアの改善率を両群間で比較した. 【結果】治療開始前の症状・薬物スコアは高年齢群が有意に高値であった. 全身反応の頻度, 症状・薬物スコアの改善率は有意差が認められなかった. 【考察】低年齢児と高年齢群では, 急速皮下免疫療法における安全性と効果が同等であった.