2017 年 31 巻 1 号 p. 63-71
【背景】卵黄の経口負荷試験 (oral food challenge : OFC) は, 微量の卵白負荷試験という位置づけで実施されることが多いが, 卵黄に残留する卵白量に関する情報は限られている.
【目的】卵黄に残留する卵白量を推定したうえで, 症状誘発閾値の低い卵アレルギー患者に対する加熱卵黄摂取の可否について検討した.
【方法】鶏卵から卵黄を分離したうえで加熱し, 卵黄表面の卵白と卵黄膜を用手的に剝離し, 重量を測定した. 2014年6月から2015年2月に施行した加熱卵白OFC陽性者から, 加熱卵白1.0gが摂取可能と判定された11人を対象として, 加熱卵黄OFCを施行した.
【結果】卵黄に残留した卵白と卵黄膜の合計量は0.7g (0.6~1.0g, n=6) であった. 加熱卵黄OFCを施行した11例中9例は陰性, 1例は局所の紅斑, 1例は複数範囲の紅斑を認めた.
【結語】加熱卵白1.0gの摂取が可能な卵アレルギー患者は, 生の状態で取り分けた加熱卵黄負荷試験で8割以上が陰性であった.