日本小児アレルギー学会誌
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ガイドライン解説:食物アレルギー診療ガイドライン2016
第4章 予知と予防
福家 辰樹下条 直樹
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2017 年 31 巻 2 号 p. 193-199

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抄録

  「食物アレルギー診療ガイドライン2016」 (JPGFA2016) の第4章では, 近年のエビデンスの紹介を中心に食物アレルギー発症の予知と予防について概説している. 食物アレルギーの発症に影響を与える因子については国内外で多くの報告がなされ, 家族歴や遺伝的素因に加え, 皮膚バリア機能, 出生季節が検討されているが, 特にアトピー性皮膚炎の存在がリスク因子として重要である. JPGFA2016では, 食物アレルギーの発症予防のために妊娠中や授乳中に母親が特定の食物を除去したり, ハイリスク乳児に対して特定の食物の導入を遅らせたりすることは, 発症リスクを低下させることにはつながらないとし, 推奨しない. 母乳には多くの有益性があるものの, アレルギー疾患予防という点で完全母乳栄養が優れているという十分なエビデンスはない. ハイリスク乳児への保湿スキンケアがアトピー性皮膚炎を予防する可能性が報告されたが, 現時点では食物アレルギーの発症予防効果は証明されていない.

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© 2017 日本小児アレルギー学会
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