2017 年 31 巻 2 号 p. 208-215
小児気管支喘息の治療において吸入ステロイド薬 (ICS) は国内外での主となるガイドラインでも中心的な役割を担っている薬剤であるが, ICSの成長に与える影響が報告されている. 小児へのICSの成長抑制についてシステマティックレビューを施行し, そのエビデンスを評価した. 対象となった25の無作為化比較試験 (RCT) で, 4つのRCTは1~5歳までの乳幼児, それ以外は5~18歳を対象とし, 6つのICS製剤が使用された. 治療期間が1年の場合, ICSはプラセボと比較して線形成長速度において−0.48cm/年の成長抑制が認められた. 成長抑制はデバイスや投与量よりもICS製剤の種類による影響が大きかった. 2年目以降の成長抑制は両群間で差がない, あるいはその差は小さかった. また, 成人期までフォローした報告では, −1.2cmの有意な成長抑制がみられた. 現時点ではICSは成長抑制をきたしうる可能性はあり, 喘息として適切な診断/評価が必要であるとともに, ICSの必要最小限度の投与量を心がける必要がある.