2017 年 31 巻 2 号 p. 216-223
吸入ステロイド薬 (inhaled corticosteroid : ICS) の定期吸入は, 気管支喘息の治療として中心的な役割をもち, 国内外のほとんどのガイドラインが軽症持続型以上の気管支喘息患者に対してICSの連日投与を推奨している. 一方, 近年, 軽症持続型喘息児ではICSの間欠吸入でも急性増悪を抑制できる可能性が示唆されている. 小児気管支喘息患者の長期管理において, 有症状時にのみICSを間欠的に吸入することの有用性についてシステマティックレビューによってエビデンスの評価を行った. 対象となった論文は5つのRCTで, 未就学児490名と学童児145名が含まれていた. 有症状時のみのICS間欠吸入は, プラセボと比較して経口ステロイド薬を要するような急性増悪を抑制させる効果が示されたが, 重大な有害事象の発生率や入院率, QOLを低下させるのかなどについてはエビデンスレベルが低く, 結論は得られなかった. 検討対象となった文献では, ICS間欠吸入の投与方法は一定ではなく, その投与量や使用方法についても今後の検討が必要であり, 現時点ではICS間欠吸入は標準治療として推奨されない.