2017 年 31 巻 3 号 p. 313-325
小児気管支喘息の長期管理薬としてロイコトリエン受容体拮抗薬 (LTRA) ならびに, 吸入ステロイド薬 (ICS) の単剤療法の有用性についてシステマティックレビューを行い, そのエビデンスを評価した. 2016年3月までの無作為化比較試験 (RCT) を文献データベース (MEDLINE, Embase, CENTRALと医学中央雑誌) より抽出した. 対象となったのは20のRCTで, 対象年齢は2歳以上18歳以下, 重症度は小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2012での中等症持続型以上. 全身性ステロイド薬投与を必要とする急性増悪をきたした人数, 呼吸機能の改善率, 有害事象等の5つを評価項目とした. その結果, 全身性ステロイド薬投与を必要とする急性増悪をきたした人数においてLTRAがICSに比して多かった. よって, 中等症持続型以上かつ, 2歳以上ではICSの方が有用であることが示唆された. 2歳未満や, 軽症持続型に対しての十分な検討がなされていないため, 今後の検討が必要であると考えられた.