日本小児アレルギー学会誌
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シンポジウム8:小児喘息 未来への展望
小児喘息とCOPD
望月 博之
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2019 年 33 巻 1 号 p. 95-105

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抄録

 COPD (慢性閉塞性肺疾患) は難治性, 進行性である上に, 世界中で増加がみられている. 有効な予防法がない現在, 可能な限り, 危険因子を排除すべきことが求められるが, 近年, 長期予後の調査から, 小児喘息がCOPDの重要な発症因子の1つであることが報告されている. 小児喘息はポピュラーな疾患である上に, 思春期での自然治癒率は決して高くないことや, 最近の治療法の進歩により見かけ上の軽症例が多くなり, 長期管理が中断, 放置される症例も数多いと考えられることから, 小児科医は, 喘息児の極長期的な経過を鑑みて, 肺機能検査を加えた長期管理を行い, タバコ煙から生涯回避すべきことを厳密に指導すべきである. COPDは成人の疾患であるが, その発症予防には個々の患者の小児期早期からの肺機能低下の確認が必要であり, 望むべき移行期医療を計画するにあたっても, 小児科医のCOPDの予防に対する理解が重要と思われる.

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© 2019 日本小児アレルギー学会
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