2020 年 34 巻 5 号 p. 543-550
【目的】標準化ダニアレルゲンエキス皮下免疫療法(以下ダニSCIT)の急速導入期の全身性副反応(以下SR)出現のリスク因子を明らかにする.【方法】ダニSCITを急速法で導入した68例で,SRの有無別に月齢,標準化ダニアレルゲンエキス注射液(以下ダニ注射液)の閾値・急速導入期の開始抗原量・急速導入期の目標抗原量,導入する季節,アレルギー疾患の併存の有無,気管支喘息・アレルギー性鼻炎の重症度といった背景因子について検討した.【結果】ダニSCITの急速導入期のSRは,68例中44例(65%)に出現し,SR出現のリスク因子は,急速導入期のダニ注射液の目標抗原量を500JAUに設定すること,夏季以外に導入すること,アレルギー性鼻炎症状服薬スコアが高値であることであった.【結論】ダニSCITの急速導入期で,導入前にアレルギー性鼻炎の症状を厳格にコントロールし,急速導入期のダニ注射液の目標抗原量を減量し,夏季に導入することでSRが減少する可能性があることが示唆された.