日本小児アレルギー学会誌
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総説
小児難治性アトピー性皮膚炎の治療
村上 洋子
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2020 年 34 巻 5 号 p. 584-593

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抄録

アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis;AD)は本邦では全人口の約1割が罹患する疾患で,小児科の日常診療で遭遇する機会が多い.基本治療を行っているにもかかわらずコントロール不良な難治性ADは稀ではない.その理由は,患者側,医療者側それぞれの問題があり,臨床医の立場から対応について述べた.

患者側の問題として,治療アドヒアランス不良,AD自体が重症であることなどが挙げられる.アドヒアランス不良は,治療の主体が保護者から本人に移行するのに備えて,それぞれの対応が必要である.中でもステロイド忌避は問題で,ステロイド外用薬の副作用の誤解により,症状の再燃を繰り返し,さらなるアドヒアランスの低下,皮疹の重症化を引き起こす.

医療者側の問題として,鑑別診断,合併症の存在,不適切な薬物療法や患者教育などが挙げられる.薬物療法に関しては,不適切な外用薬の選択,不十分な患者指導などの可能性があり,改めてその選択,方法を見直す必要がある.さらに,外用薬以外の治療法もあり,選択肢が広がっており小児の適応なども含めて述べる.

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