日本小児アレルギー学会誌
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総説
アトピー性皮膚炎の病態と治療
中島 沙恵子椛島 健治
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2020 年 34 巻 5 号 p. 594-601

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抄録

アトピー性皮膚炎は,増悪と寛解を繰り返し,掻痒のある湿疹を主病変とする慢性炎症性皮膚疾患である.アトピー性皮膚炎の発症や増悪には,皮膚バリア機能,環境要因,遺伝素因,皮膚常在細菌などの様々な要素が関わっており,皮膚バリア,アレルギー炎症,かゆみの3つの要素が中心となり病態を形成する.

アトピー性皮膚炎ではTh2型の免疫応答が亢進しており,Th2細胞から産生されるサイトカインであるIL-4,IL-13,IL-31がかゆみの誘導に重要な役割を果たす.また,バリア機能異常のある皮膚を介した経皮感作により誘導される獲得免疫応答は,アレルギーマーチの誘導に重要である.

アトピー性皮膚炎の治療の中心は,ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などの抗炎症外用薬と,保湿剤による皮膚バリア機能の改善(スキンケア)である.Th2サイトカインであるIL-4とIL-13の作用を阻害する抗IL-4受容体抗体であるデュピルマブは,中等度から重症のアトピー性皮膚炎に高い治療効果を発揮する.

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© 2020 日本小児アレルギー学会
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