日本小児アレルギー学会誌
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解説:アレルゲン
アレルゲン:ナッツ類・種子類
佐藤 さくら
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2020 年 34 巻 5 号 p. 612-619

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抄録

ナッツ類・種子類はIgE依存性食物アレルギーの主な原因食物のひとつであり,ピーナッツ,クルミ,カシューナッツは重篤な症状誘発の頻度が高い.ナッツ類・種子類は大きく4種類(プロラミン,クーピン,Bet v 1ホモログ,プロフィリン)のスーパーファミリーに分類され,構造的な特徴から異なる熱・消化耐性を示す.一定の割合でアミノ酸配列の同一性を示すため,多抗原感作を認めることが多いが,感作のみで臨床症状を伴わないことも多い.近年,アレルゲン解析の技術が進歩し,臨床的な診断精度が向上した.貯蔵タンパク質はプロラミン,クーピンに属し,アレルギー症状の誘発に関連する.ピーナッツのAra h 2,大豆のGly m 8,クルミのJug r 1,カシューナッツのAna o 3,ヘーゼルナッツのCor a 9とCor a 14,ゴマのSes i 1の診断有用性が報告されている.本稿では,ナッツ類・種子類のアレルゲンおよびその臨床診断への利用について紹介したい.

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© 2020 日本小児アレルギー学会
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