日本小児アレルギー学会誌
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シンポジウム1:アレルギーとリスクファクター・増悪因子
食物アレルギーのリスク因子・増悪因子をふまえた患者管理
高岡 有理
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2023 年 37 巻 1 号 p. 12-17

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抄録

乳幼児の食物アレルギーの感作および発症のリスクに関しては,家族歴,皮膚バリア機能の低下,環境中の食物をはじめとするアレルゲン,日光照射不足などの関与が報告されている.乳幼児期では皮膚炎を十分な治療により早期に寛解させ,経口免疫寛容を意識して離乳食を遅らせることはしないようにする.また幼児期以降は鶏卵,牛乳や小麦アレルギーの自然経過では食物特異的IgE抗体価高値の方が遷延する傾向にあるため,IgE抗体価高値の乳幼児では,少量から経口負荷試験を行い食べられる範囲があれば摂取する必要最小限の除去治療を行う.アナフィラキシーのリスク因子は,アレルゲンの摂取量やその特性によるもの,アナフィラキシー時における患者の対処や運動や薬剤などの増悪因子に関する患者行動,免疫応答や内分泌などの患者自身のもつ反応性,感染,喘息,年齢などの内因性及び外因性の要因に大別される.患者にはアレルゲン曝露や増悪因子に注意するよう指導し,アナフィラキシー時にアドレナリン自己注射や救急受診などの適切な行動がとれるように支援する.

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© 2023 日本小児アレルギー学会
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