日本小児アレルギー学会誌
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シンポジウム1:アレルギーとリスクファクター・増悪因子
アレルギー性鼻炎(花粉症)と衛生
~過去から学び,コロナとともに生き,予防への希望~
吉田 幸一
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2023 年 37 巻 1 号 p. 18-22

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抄録

幼少期における微生物叢との接触の増加がアレルギー発症に予防的に働く概念,いわゆる衛生仮説は1989年に報告された疫学研究が始まりである.この調査では同胞,特に年長同胞が多いほどアレルギー性鼻炎の有病率が低下し,その効果は成人期まで波及している結果を示した.

その後30年が経ち,本邦ではより衛生的な生活を送るようになり,さらに少子化もとどまる気配がなくなり,同胞数と成人期のアレルギー性鼻炎有病率の関連は明らかではなくなってきた.そして新型コロナウイルス感染流行対策として,我々はソーシャルディスタンスを保ちマスクをつけて外出するようになり,さらに衛生的な生活をおくっている.ただし,これらの感染対策は必ずしもアレルギー性鼻炎に対して悪影響を及ぼすものばかりではないようである.この感染対策による小児アレルギー疾患の発症に対する影響はまだ明らかにはならないが,現在示されている知見からアレルギー性鼻炎に対する発症や増悪因子としての影響を考えてみたい.

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© 2023 日本小児アレルギー学会
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