日本小児アレルギー学会誌
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長期入院した気管支喘息児92名における肺機能検査の推移
岩島 覚竹内 浩視
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キーワード: 罹病期間, 気管支喘息児
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1997 年 11 巻 4 号 p. 282-287

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抄録

喘息重積発作にて呼吸不全に陥り挿管された既往をもつ症例の肺機能についての報告は少ない. 今回, 1ヶ月以上入院した気管支喘息児92名 (男児61名, 女児31名) を, Near fatal attack の指標として挿管既往の有無別に, 定期的肺機能検査を比較検討した. 入院経過中における挿管既往 (+) 群 (男児4名, 女児3名) と既往 (-) 群 (男児57名, 女児28名) との比較において, 挿管既往群ではFEV1.0%, %FEV1.0, %MMF, %V50, %V25が有意に低値で, FEV1.0%, %V50は罹病期間と負の相関関係 (r=-0.814 p<0.05, r=-0.797 p<0.05) を示した. この結果, 挿管既往群においては非発作時にも末梢気道の閉塞が残存し, 罹病期間の長期化とともに気道閉塞は増悪していく可能性が示唆された.
挿管後の肺機能検査においては, 一過性の末梢気道の閉塞が存在し, 挿管回数が頻回な症例では挿管後の気道閉塞は長期化する傾向があると思われた.

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