日本小児アレルギー学会誌
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トマトによる Oral Allergy Syndrome にスギ花粉症を合併した1症例
スギ花粉とトマトの共通抗原性について
徳田 玲子近藤 康人安藤 仁志和田 映子宇理須 厚雄
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1999 年 13 巻 1 号 p. 13-17

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抄録
oral allergy syndrome (以下OASと略す) はシラカンバをはじめとする樹木花粉症の合併率が高い. イネ科花粉や雑草花粉症でも同様の報告がされているが, 我が国で最も多いスギ花粉症との合併の報告は少ない.
我々は, トマトによるOASにスギ花粉症を合併した14歳女児例を経験した.
患児は12歳ごろよりスギ花粉症があり, その頃からトマト摂取後に口腔内のしびれ感や違和感を訴えるようになった. 特異的IgE抗体 (CAP-FEIA) は, スギ花粉85.2UA/ml, トマト10.9UA/mlであった.
患者血清を用いた immunoblot 法と inhibition immunoblot 法を行った.
患者血清IgEはスギ花粉抽出抗原の major allergen であるCry j1とCry j2に反応し, トマト抽出抗原では複数のタンパクと反応した. inhibition immunoblot 法では, スギ花粉抗原とトマト抗原の間で互いに濃度依存性に抑制されるバンドが観察され, 両者の間には共通抗原性が存在する可能性が示唆された.
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